2016年8月29日月曜日

新婦のスピーチ

先日、中高大と一緒だった友人の結婚式に出席しました。
彼女は大学の学部まで一緒で、そういう意味でも唯一無二の友人です。日ごろからしょっちゅう飲みに行く! というタイプではないんだけど、落ち着いて話を聞いてくれて、一緒にいるとラクで、安定感のある女性です。彼女が幸せそうで私も幸せだった。

そこで、5月の私の結婚式にも来てくれた別の友人と話していたのですが、私の結婚式のスピーチを褒めてくれて、とても嬉しかった。
こういうのって、その場で読んで終わりだからこそ綺麗で、ネットに載せたりするものじゃないかなあという思っていたのですが、せっかくだからサイキッシュを見てくれている人に読んでもらいたい気持ちもあるし、いつか誰かの参考にもなればと思って、僭越ながらここに掲載することにする。
ちなみにあくまで「新婦から両親への手紙」ではなく、「新婦のスピーチ」という位置づけでした。プライバシーに関する部分は、一部改変・省略しています。


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皆さま、今日はお忙しいなかお越しくださいまして、改めてありがとうございました。
宴も終盤になりましたが、この場を借りて、一言スピーチさせていただこうと思います。両親から、「お涙ちょうだいの手紙はいらないからね」と言われましたが、もとよりそんなつもりはございませんので、どうぞ安心して聞いてください。

私が地元の広島を離れ、東京に来てから、今年で12年になります。
10代半ばから、東京に出てマスコミで働きたい、と考えていました。そのくせロクに勉強していませんでしたが、小論文だけが得意で、AO入試で奇跡的に大学に合格し、東京進出を果たしました。しかし就職活動は厳しく、「出版社に受からなかったら、広島に帰ってこい」と両親に言われながら、最後の最後で●●(社名)に拾ってもらいました。それなのに、今度は履修単位がギリギリで、大学4年生なのに週に41限の授業に出る羽目になりました。単位が足りなくて卒業できない!という夢を、今もしょっちゅう見ます。晴れて入社したら、ファッション誌志望のはずだったのに、まさかの■■(雑誌名)に配属になってしまいました。

こんな風に、ずいぶんギャンブラー的な人生を送ってきました。私の名前は、小さい頃「サイコロ」とからかわれたりもしましたが、名は体を表すなのか、「出たとこ勝負」な人間に育ちました。両親の堅実さをほとんど受け継がず、家族への情も薄くて、両親はきっと困惑することも多かっただろうと思います。
ただ一方で、私のアイデンティティである「書くことと読むこと」は、両親から与えられたものだと感じます。子供部屋には、たくさんの本が詰まった父の本棚があり、そこから「読む」ということを教えてもらいました。そして高校生のとき、母に薦められて小論文コンテストに応募しました。受賞したことが自信になり、「書く」ということを本格的に始めました。それが上京につながり、仕事につながり、今ここにいます。私が東京に出ていくことは、両親は本当は嫌だったかもしれないけど、無意識のうちに、このふたりにいちばん背中を押してもらってきたんだなと、改めて思います。

そして、この東京で○○さん(夫)と出会ったのは、これまた想定外の出来事でした。皆さまご存じのように、○○さんは酔っぱらうとすぐに寝るし、寝起きが悪いし、いつもマイペースで、なかなか手のかかる人です。でも同時に、とても頭がよくて、純粋で細やかで、こちらが思いもつかないようなことを深く考えている人でもあります。話していると面白くて、いつも刺激を与えてくれます。私は○○さんといるときが、もっとも編集者らしいかもしれません。この人の良さを、世の中にもっと知ってもらいたい! 隣を併走したい! という気持ちになるからです。
そんな○○さんの名前にも、実は「dice」とサイコロを意味する言葉が入っています。気ままなふたりを象徴しているようで、私はとても気に入っています。

これからどんな未来が待っているのかは、わかりません。ただひとつ言えるのは、「サイコロでどんな目が出ても、その目なりに楽しむ」ことを大事にしたい、ということです。人生はいつも6ばかり出るわけではないし、1回休みのときもあるでしょう。また、私が調子が良くてても、○○さんは調子が悪かったり、その逆もあると思います。そんな時も○○さんとふたりなら、笑って乗り越えていける気がして、私は今とてもワクワクしています。

お父さんお母さん、今までありがとう。もちろん、これからもよろしくお願いいたします。○○のお父さんお母さん、こんな私を家族に迎えてくれてありがとうございます。たくさん仲良くしたいです。
そして○○さん、一生一緒に飲んで踊って、人生を楽しみましょう。

2016年5月21日 (本名)

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以上!
喋っているうちに興が乗って、原稿を結構アレンジしてしまい、予定より長くなったのが反省点ですが(やっぱり短くまとまっているほうが、スピーチとしては完成度が高い)、それだけ楽しかったし、言いたいことがたくさんあった。
結婚式の1か月くらいから考えてて、実際に書いたのは3日前くらいから。
前日に書き終わって時間もなかったので 、ワード出力そのままで可愛げのカケラもありませんでしたが、あくまでスピーチなのでまあいいかなと。ワード原稿のほうが読みやすいしな。
親には「手紙じゃなくてスピーチするわ」と事前に宣言していて、「そんな自己主張の強い花嫁なんて聞いたことがない、やめてくれ」 と懇願されていましたが、最終的にはきっと親も満足してくれたでしょう。
読んでくれてどうもありがとうございます! 国勢調査アンケートはまた次回!