今さらですが、2011年のランキングいろいろなどを。
まずは本とマンガ部門。
去年読んだ本のなかでのランキングなので、新刊以外も含まれます。
5位:柚木麻子『あまからカルテット』
東京のいろんな町を舞台にした、女友だち4人のドタバタコメディ(ときどきビター)。
若干性善説すぎる部分もあるけど、短篇連作で繋げていく完成度の高さ、おいしそうな食べ物の描写が秀逸。
2作目でつまづく新人作家が多いなかで、きちんと面白いものを出してきたことを評価したい。
さらに、実はこれが「震災前の無邪気なノリが許された、最後の東京小説」であるということが、読後にじわじわくる。
4位:藤沢周『箱崎ジャンクション』
精神安定剤を服用するタクシードライバーの狂気と日常を描いたハードボイルド作品。
最高に悪趣味でグロテスクで狂っていて、読みながらどんどん悪酔いしていくけど、それがクセになる。
夢か現実かわからなくなりそうな展開を、首の皮一枚のところでドライブするスリル。
主人公に見えている世界を具現化したような表紙イラストも素晴らしい。
3位:市川春子『25時のバカンス』
アフタヌーンKC発のマンガ。3篇収録。
詩的なリズムと軽やかなユーモアで描かれる、SFと日常の邂逅。宇宙の神秘と生命讃歌。
見ようによってはグロいシーンもあるけど、「素敵でちょっとこわい」世界観に魅せられる。
なかでも姉×弟が主人公で、甘酸っぱい胸キュン要素も含む表題作の素晴らしさ!
長い夜があけて、朝の光に包まれるラストシーンは何度読み返してもやられる。
2位:パオロ・バチガルピ『ねじまき少女』
「ニューロマンサー以来の衝撃」なんて売り文句がついてましたが
王道SFを読み慣れていない私のような読者のほうが楽しめる作品かと思った。
舞台は資源が枯渇し、限られたバイオ企業が世界を支配する近未来のバンコク。
タイ政府に食いこむチャンスを伺う西洋のビジネスマン、彼の下で働きながら、かつての栄光を 取り戻そうと画策する中国人難民、タイ政府の良心であり続ける環境省の型破りな役人とその部下。
そして時代の渦に巻き込まれる“ねじまき少女”こと、機械のショウガール・エミコ。
正直、上巻の途中までは読むのがしんどかったけど、キャラが出揃ってからは転がり落ちるように読み進めてしまった。
アジアの眩しい陽射し、フルーツの強い匂い、路地裏の生命力が刺激的に機能していた。
1位:窪美澄『ふがいない僕は空を見た』
詳しくは3月8日のエントリで。
綺麗事じゃない話ばかりなのに、絶望の底から滲みでてくるこの強さはなんなのだろう。
何回読んでも震えます。
特に第2話「世界ヲ覆フ蜘蛛ノ糸」の〆の文章は印象的すぎて、もう暗記してしまった。
あとはオムニバス『文芸あねもね』、ヘレン・マクロイ『暗い鏡のなかに』、ボストン・テラン『音もなく少女は』、津村記久子『ワーカーズ・ダイジェスト』あたりも面白かった。
つづいてグラビア部門。こちらは順不同。
()内はカメラマンの名前です。
・週刊文春2011年11月24日号「原色美女図鑑」 剛力彩芽(横浪修)
「原色美女図鑑」を見るのが週に一度の楽しみと化している私ですが、この回は本当に唸った。
写真より動いたほうが剛力の魅力は伝わると思っていたのが、見事にくつがえされた。
好みの別れる顔だし、けっして美人ではない、ロリでもない、中性的と片付けてしまうのも違う、
「可愛すぎる希少生物」とでも呼びたい剛力彩芽の稀有な魅力を、5ページで表現しつくしている。
モデル、カメラマンはもとより、構成した編集者の手腕に感服。
・ヤングジャンプ2011年27号表紙グラビア 渡辺麻友(桑島智輝)
まゆゆと言えば写真集もよかった(しかし一番いい写真はアザーカットとしてFRIDAYに載っていた謎) が
グラビア単体でいえばこれ。夜の遊園地を貸し切ってのマジカルパーティー!
ピンクのドレスを着てメリーゴーランドに載るまゆゆの楽しそうなこと。
紋切り型の笑顔が多かったまゆゆが、去年を境に自然な表情を見せるようになったのも、ファンとしては嬉しい変化。
写真はこちらで見られます
・FRIDAY2011年9月9日号表紙グラビア 松井珠理奈&松井玲奈(矢西誠一)
AKB関連、特にSKEの写真はいつもクオリティの高いFRIDAY。この号もよかった。
珠理奈はタンクトップ型、玲奈はビキニ型の水着で、前者は瑞々しい動の美しさを、後者はしっとりとした静の魅力を。
だが一番よかったのは制服を着て団扇を持ったカット。後ろの窓にはすだれ。
珠理奈はネクタイ、玲奈はリボンという細かい演出も嬉しい。夏の美少女を拝む幸せ。
写真はこちらで見られます
・MOVIE GIRLS #7 二階堂ふみ(細居幸次郎)
この号は若手女優の写真が総じてよかったのだけど、これが出色。
マネキン工場に紛れ込んだ二階堂ふみ。
わかりやす過ぎるモチーフとはいえ、生命力みなぎるモデルを活かすのには、これ以上なくハマっている。
横断歩道を渡るカットが一番好き。訴えかけてくる躍動感。
モデルの写らない写真を挟めるのも、大判のグラビア誌だからできる贅沢な構成。
・週刊プレイボーイ2011年01・02合併号&5号 岩佐真悠子(栗山秀作)
評判がよくて、後日追加掲載となったのも納得の渾身のグラビア。
雪の北海道という、ページ越しに見ていても寒くなるような舞台でありながら、お互い一歩も退くことのないモデルとカメラマン。
恋愛にも戦いにも似たぶつかり合いから生まれるケミストリーに震える。
自然と上気する、頬の赤みの美しさ。