2021年10月1日金曜日

Wake Me Up When September Ends

 ご報告です。9月中旬、無事に子どもが生まれました!

すでに退院し、夫と3人の暮らしを始めております。
おかげさまで母子ともに健康です。

といいつつ出産はやっぱりすごくて、失血1リットル、会陰切開等々、母体はなかなかダメージを受けました。
陣痛から分娩までは4時間程度で、一般的には早い方なのですが、計画無痛分娩の割に難産で、終盤は「もう無理、生める気がしない!」と心の中で叫びながらいきみ続けていました。骨盤に引っかかって?うまく出てこれなかったみたいで、最終的には吸引分娩に。
生まれたての子と対面したときの私の第一声、ありがとうとかやっと会えたねとかじゃなくて、素で「この野郎!」だったもん。
のちに麻酔医に、無痛じゃなかったら気絶してたかもと言われましたが、マジで痛かった……。すべての経産婦よく生きてるな。
ただ産後の経過はよく、回復が人より早いようなので、無痛分娩にした甲斐はあったなと思います。

自分の子どもはなるほど、確かにものすごくかわいい。
病院にいる間は理性が効いていて、「赤ちゃんの見た目は猿か亀かガッツ石松に分類されるというが、この子は亀だなー」くらいに思っていたのですが、退院後は夫と「もしかして、この子ものすごく美形なのでは!?」と、ことあるごとに騒いでいます。
同時に新生児のままならなさの洗礼も浴びまくっていて、何をやっても数時間寝ないときは寝不足になるし、心もつらいし、近所迷惑も気になるし、消耗します。人ひとりを引き受けるってこういうことなんだなと。
赤ちゃんに合わせて寝たり起きたりしながらひたすらお世話する日々は、まだ現実感がなくて、ときどき寝ぼけた先に「あれ、これ今後も毎日続くんだっけ?」と、ハッとしたりする。

周りの人たちも想像以上に出産を喜んでくれていて、なかでも実の母が本当にうれしそうで、こういうモーメントが人生に訪れたことが得難いな、ありがたいなと感じています。
その一方で、母から来た「やっぱり子どもをもててよかったでしょう」というLINEの文面に、一瞬真顔になる自分もいて。母は心から善意、祝意からそう言ってるのがわかるし、言いたいこともだいたいわかるんだけど、笑顔で「うん! 本当にそうだね!」とはならなくて。
私からは
「無理につくる必要はないと思っていたけど、生まれてみたらたまらんね。子育てすることで、夫ともっと仲良くなれる気がするよ」
と返した。素直な想いだし、そのときの自分としてベストな返事だったと思う。

生まれて2週間程度なのに、この子がいなくなったら……なんてもう考えられない。でも、こう書くと気に障る人もいるだろうけど、子どものいない人生の自分も、どこかの世界線で生き続けるような気がしていて。
どっちに進んでも自分だし、自分らしい人生は送れると思う。分岐した先の世界で楽しくやってねって思います。
この感覚はどんどん失われていくかもしれないから、今まだ、輪郭がつかめそうなうちに、ここに書いておきます。

* * *

前回の記事のアンケートに答えてくださった方々ありがとうございました。とてもうれしく拝読しております。
気持ちの上では個別に返事を返しています!
引き続き設置しておりますので、まだの方も、ぜひ一言書いていってくださいませね。

2021年8月10日火曜日

a long vacation

2021年7月で、サイキッシュは20周年を迎えました!
15歳、高校1年生の夏から始めて、人生の半分以上、私という人間の開かれたパーソナルスペース、拡張した脳空間として機能してくれているんだなあ。
運営しているのは自分自身なのですが、とても面白いリアルタイム実験だなあってつくづく感じる。
ずっと見てくれている方も、ときどき思い出したように遊びにきてくれる方も、今日たまたま検索で引っかかってくれた方も、皆さん本当にありがとうございます。

せっかくなので久しぶりにアンケートフォームをつくってみました。
気軽に答えられる感じにしたので、よかったらぜひ遊んで行ってください。

さて、7月に20周年だったから、本当はその時期に更新したかったのだけど、8月にずれこんだのは事情があります。
今日は山の日の3連休明けの平日ですが、私はお休み。
ただの夏休みではなく、人生で最初で最後かもしれない、ちょっと特別なお休みに今日から入りました。いわゆる産休というやつです。
YES、妊娠した~~~
女35歳、コロナベイビーを腹に宿しております。じつは地中海旅行記を書いている途中に発覚したんだけど、とりあえずそのような気配は見せずに書ききったのであった。

妊娠したことは、インターネットでは明らかにしてきませんでした。最初は安定期に入ったら…と思ってたんだけど、なんとなく機を逃してねえ。
生まれたあとに発表するのも考えたけど、育児でうつろになってそんな暇なさそうだし、「十月十日」というこの期間の間に、生の声を書いておきたいというのはあった。
幸いにして、つわりもほぼなく、眠い以外の不調も少なくて、かなり元気なほうの妊婦だと思うのですが、それでも何があるかわからないのが妊娠だなあとしょっちゅう感じます。
在宅ワークになったの、かなりありがたかった。不安定な体で満員電車に乗って通勤するとか、コロナ以前の妊婦マジで無理ゲーすぎんか?と思う(もちろん今も外出せざるをえない立場の妊婦がたくさんいること、自分はめちゃくちゃラッキーであることは、理解しております)。
コロナが流行してよかった、とはけっして言えないけど、でも社会が変わるきっかけになったはずだし、何がどう人生に影響してくるのかわからんもんだなと実感しています。

せっかくなので今日撮影したばかりの近影だよ(@自宅洗面所)。

正面から見ると一瞬わからないのだが…

横から見るとどう見ても妊婦です。ありがとうございました。
体重増加はずっと控えめで、なんと8か月の時点では妊娠前プラス1.5kgというかなり優秀なスコアだったのだけど、9か月に入ってから急カーブで一気に体重が増えてきて、これが後期妊婦…とおののいている。
といいつつプラス1.5kgというのもカラクリがあって、つわり期に3kg痩せたんですよね。なのでそれも含めるとプラス4.5kgではあったのだが。
ちなみに痩せたのは吐いた、食べられなかったなどではなく、酒をやめたから、ただ一点それだけ…ホットケーキとか食いまくったのにどんどん体重が減ってたまげたよ。酒そのもののカロリーもあるし、むくみも減ったんだろうな。酒、こんなに好きなのに私を苦しめる存在。
でも不思議なことに、本当に妊娠するとそんなにお酒飲みたくなくなりました。当初は「ノンアルコール飲料をいろいろ試すぞ!」と思ってたけど、なんかそれも不要だなというか。ノンアルコールワインも結局ジュースだしなあ。甘い飲み物が飲みたいわけではないんだよな。
20歳以来の酒を飲まない日々を過ごしてわかったのは、酒の味わいって「ビールやシャンパンなら爽快感、赤ワインやウィスキーならうっとり感」、そして「苦味」なのかなと。
いい苦味って、じつはノンアルコール飲料には意外と存在しなくて。だったらコーヒーとか紅茶を飲むほうが手っ取り早い(カフェインもとりすぎは注意ですが)。
食事に合わせやすいのは、黒ホッピーにトニックウォーターかグレープフルーツジュースをちょっと足したやつかな。苦味をちょい足しすることで酒っぽくなる。

結局酒の話にいちばん文字数を費やしてしまったけど、そんな感じで妊婦生活ラストスパートを過ごしております。
秋には子どもが戸籍をもつ人間として実在しているのか…と思うと本当に不思議だけど、基本的には楽しみな気持ちが強いよ! 生まれたら生まれたで、かつてない感慨があるんでしょうね。それを体験するのが楽しみ。

コロナと猛暑で大変な夏だけど、私は元気にやっております。合言葉はサヴァイヴ。皆さんもどうぞお元気で。

2021年6月6日日曜日

『アフターキング』副音声解説

2010年4月から、趣味で小説を書き始めて、丸10年経ちました。

小学生のころに講談社ティーンズハート文庫に影響されて、何作か書いたりしたけれど、中学生ではそれが漫画に代わって、さらに高校生からは「自分が描くより編集の立場の方がおもしろい」と感じるようになり、日記やレビューはしこしこと書き続けてきたけど、フィクション創作からは遠ざかっておりました。

でもきっと、ずっと「物語」を書きたいという思いが心のどこかにあったのでしょう、たまたま連続で読んだジュンパ・ラヒリ『停電の夜に』と桜庭一樹『私の男』がすごく面白くて、うわーっとなって、なんとなく温めていた「血のつながらない兄と妹の話」を勢いで書き始めて。
それが意外と書ききれてしまったので、楽しくなって、それ以降も書き続けてきました。

書くのはたいてい、2万字前後の中篇で、長くて5万字程度だった……のですが、見切り発車で始めて、結局8年以上もかけて、なんとか2019年に18万字(+番外編2つ)で完成させた作品があります。
『アフターキング』という小説です。

https://ncode.syosetu.com/n5824s/

東南アジアの小国・ヴェイラの首都の古アパートで、隠遁者のような生活を送るヒゲの男、ジェイル(32)。彼こそ、15年前にわずか17歳で退位した最後の国王だった。

正体を隠しながら静かに暮らす彼のもとへ、突然日本人の女子大生チセが押しかけてくる。ジャーナリスト志望のチセは、ジェイルを取材したいと言う。

パワフルで自由なチセに振り回されながら、ジェイルは諦めていた人生を少しずつ取り戻していく。だが背後では、彼を政変に巻き込もうとする不穏な動きが……。


サイキッシュでは書いている小説の具体的な話はしてこなかったけど、この作品はとても思い入れがあるのと、影響されてきた文化をぶち込んでいるので、副音声的な解説を残しておきたいなと思って。
小説本編を読んでくれとは言わない、でもこの解説は読んでいって!


・舞台は東南アジアの架空の国。15年前に王制から民主化したという設定で、王制への揺り戻しを図るクーデター計画がストーリーのメイン軸

いきなりどこに向けて書いてるんだよ……という感じですが、大学のゼミでは政治体制と民主化を専攻していたので、私にとってはずっと身近なテーマで。書き終えた今も、ミャンマーの政治動乱を見て、つくづく過去のことではない、他人事ではないと思います。

そして東南アジアも大大大好き……ベトナム、マカオ、ペナンなど、実際に旅をした、少し中国の影響を受けている東南アジアの都市をイメージしながら書いていました。

・主人公が元国王、32歳の引きこもりやさぐれヒゲ男子

血統よし、見た目よし、頭もいいと、設定だけ見たらチートなはずなのに、書きながら何度も「こいつ、なんて面倒な男なんだ?」と呆れるほど、うだうだ理屈っぽい主人公でした。私がこれまで見聞きして蓄積してきた「男子のダメな部分」をMAXに出力すると同時に、男子の内なる善な部分も信じながら書いた。
とくに男性メインのロックバンドの歌を聴くときに感じる、“這いつくばりながら、それでも光を求めている”感じというか。

どれだけスペックが高くても、自分の「穴」に向き合わない限り、自分らしい人生は送れない。どこかで腹をくくって、人生のケリは自分でつけるしかない。書き進めるほど、そんなふうに感じていました。

・年の差カップル、バディもの、探偵小説の要素

そんな七面倒な男を家から叩き出すには、生命力にあふれたヒロインが適任だろうと思いました。私の偏愛する「おっさん×少女」をつい書いてしまった。
ただ、主人公に都合のいいだけの女の子にはしたくなくて。動物的というか、小柄でかわいいけど獰猛さがあり、理屈ではなく自分のルールで行動するキャラクターを目指しました。このヒロインに関しては、逆に書きながら「何を考えているんだろう……」と思うほどでした。

年齢差あり、でこぼこのふたりが、街を駆け巡りながら、謎に体当たりしていく。ラブストーリーでもあり、冒険小説、探偵小説っぽい要素もふんだんに取り入れたつもりです。

・王族、上流階級、パーティ!!

ロイヤルへの憧れは私にももちろんあって、華やかな部分はもちろんのこと、「duty」を背負っていることに惹かれる。生まれながらにしてアイドルになることを義務づけられている人々。
自分がなりたいか?と言われると、けっしてYESとは言えないし、実際この主人公もしょっぱなから王位を返上しているのですが、それでも王族に生まれついたという事実は消せない。そんな人が、「その後の人生」をどう生きるか、はずっと好きなテーマです。

そしてパーティのシーンはやっぱりぶち込んでしまうよね。せっかくなのでタキシードとドレスを着せたかった。漫画だととてもじゃないけどパーティシーンの描写なんてできないけど、好き勝手に書けるのは小説のよさですね。


・Soundtrack

夏盛りの街が舞台で、また前述のとおり男性ロックバンドを強く意識しながら書いていたので、聴いていた音楽も男性ものが多かった。

Can You Take Me/Third Eye Blind

Reckless/J

10 Days Late/Third Eye Blind

Jasmine/Jai Paul

Bolero/Maurice Ravel

All Of The Lights/Kanye West

Inhaler/Foals

Lean On/Major Lazer feat.MØ&DJ Snake

NOW YOU KNOW BETTER/Mondo Grosso

Feel Your Blaze/J

U(Man Like)/Bon Iver

The Sound/The 1975

Non-dairy Creamer/Third Eye Blind

Walk On/U2

アルバム単位だとThird Eye Blindの4枚目『Ursa Major』(2009)が本当にぴったりで、特に1曲目の「Can You Take Me」が主人公の気持ちにフィットしすぎて和訳を何度も読み返していたほど。

なにかが起きる予感が肌の内側でゾワゾワとしている、お互いにもうわかっている、これ以上嘘はつけない、暴動の機運はすぐそこまできている、立ち上がって世界を変えなきゃいけない、あとは手を伸ばすだけ、私たちは似ている、今なら、そう今なら、この距離を越えられるかもしれない……
ちなみに歌詞に出てくる「I'm the mega collider when I take you」というフレーズがすごく印象的なのですが、mega collider(価値観を大きく揺さぶる存在、って感じの意味かな)という言葉はThird Eye Blindのレーベル名にもなっていて、「わかる、気が合うね!」ってなりました。バンドも困るだろうね。

「U(Man Like)」は書き終わる時期に出会った曲で、男子のうじうじした感じがやさしく穏やかに歌われていてキュンとする。終盤の気分にぴったりだった。「Lean On」はダンス×エレクトロだけど刹那的な感じが、ヒロインのテーマソングでした。

・オマージュをささげた作品
そんな大層なものではないですが、書いているうちに自然と、これまで影響された作品を意識する部分がありました。映画『オールドボーイ』、映画『ローマの休日』、小説『ねじまき少女』(パオロ・バチガルピ)、小説『この世界、そして花火』(ジム・トンプソン)あたりが出てきます。

『元国王のスピーチ』『美男ですね』『王の帰還』『とらわれの身の上』『FACES PLACES』『クロージング・タイム』あたりの各話タイトルも、既存作品から借りてます。クスッとしてもらえたらうれしい。

あと「Coldplayなんて、いま年寄りしか聴いてないでしょ?」的な会話も入れてしまった。Coldplayに恨みはないです……主人公は2000年代にオックスフォードに通っていたという設定なので、「Yellow」とか「The Scientist」をラジオですごく聴いていた世代です。


うう、我ながらめちゃくちゃ自己満足なあとがきを書いてしまった。すみません。でも今後の人生でこれだけじっくり書いて完結できる小説が生まれるかどうかもわからないし、記念に残しておきたかった。

もしご興味のある方は、上のリンクから読んでみてね!


2021年2月7日日曜日

2019年地中海クルーズ(10)10・11日目:アテネ国際空港~帰国

ついに旅行の最終日がやってきました。昼過ぎの便なので、もう観光などの時間はありません。ホテルで朝食を食べて、少しぶらぶらするくらいでしょうか。ホテルの朝食は一般的なものですが、生絞りオレンジジュースの機械があったのが面白かった。気に入ったらしい父が珍しく母や私の分までつくってくれました(普段は料理の類は全然しない)。

前日の「スーパーに行けなかったショック」をまだ引きずっていた私は、ワンチャン見てくらぁと、夫をひとり残して近所へ。やはりスーパー等は閉まっていましたが、おじいさんがやっている個人経営のコンビニみたいなところはあいてた! ギリシャのピスタチオがおいしいと聞いていたので、ピスタチオを2袋購入。ひとつ4.5ユーロで、そっけないパッケージで、ほんとに庶民的な商品だったけど、これは本当においしかった。もっと買えばよかったくらい。

ホテルの近くの路地。日曜朝なので人気も少なめ。

こんなギリシャ正教会の教会もありました。

チェックアウトし、バスでアテネ国際空港へ。空港にギリシャを代表するスキンケアブランドApivita、KORRESがあると聞いていたのですが、それ以外はとくに買うものないかな~?と思っていたのです。が!

ギリシャワインが!

めちゃくちゃ!
そろってる~~!!

これはかなりうれしい誤算。旅行中にお気に入りとなったアルファエステイトのマラグジアも無事に買うことができて本当にハッピーでした。きっとスーパーに比べれば高いとは思いますが、全体的に良心的なお値段でしたよ。

チェックイン後のエリアはほかにもセンスのいい雑貨や小物がたくさん。

搭乗前に安心して買い物できますね。残念ながら日本から撤退したApivitaでもたくさん買えて幸せ。KORRESは今回買わなかったんですが、最近話題のヨーグルトパックを買っとけばよかったな~とあとで後悔しました。

そして離陸。さようならギリシャ!(この写真はたぶんギリシャのはず! もしかしたらイタリアかも)

そしてローマで乗り換え。時間があまりなく、買い物はできるけど、レストランに入る時間はないかなという感じ。ただアテネ-ローマ間が軽食しかなくおなかがすいていたので、搭乗ゲートの手前で急いでビール2本と、親の分も含めてサンドイッチを購入。ちなみにここではボンジョヴィの昔のヒット曲が流れていたんですが、この旅行中ほかでも聴く機会があり、懐メロ的な感じで街中でよくかかってるんでしょうね。

ちなみに合流したら、親も親で軽食のパンを買っていて、考えることは一緒だな!と思った。そうして11時間ほど飛んで、無事に翌日午前中に成田着。長い旅が終わりました。

お土産をざっと。

右上は買い集めたギリシャの石鹸。真ん中のサンダルはアテネで買ったもの。ぺたぺたと歩きやすくて重宝しています。その左隣がクレタ島の修道院で買った塩。さらにその左がおじいさん商店で買ったピスタチオ。
一番下はApivitaのフェイスパック、ヘアパックなど。

ご当地マグネットも購入。左はアマルフィ、右はアテネ。

たんまり買ったワイン。左からアルファエステイトのマラグジア(2本購入)、クレタ島のロゼ、モンテネグロの赤ワイン。

あとこちらはローマ三越で買ったワインボトルホルダー。日本でも通販やイタリア物産展などで買えるみたい。赤と緑の色がイタリアカラーだし、クリスマスなんかにも映えてお気に入りです。

私の人生において、本当に忘れがたい思い出となったエメラルドプリンセスでの地中海クルーズ。自力ではなかなか行けない場所も多く、「船でつなぐ旅」という魅力を体感することができました。

また寄港地の観光中、私がiPhoneの地図アプリなどを見ながら親を案内していたとき、親は「30年前は自分たちが子どものお世話をしていたのに、今は立場が逆になったんだなあ」と感慨深かったそう。そういう経験、思いを体験できたことも、旅のすばらしさだなと思います。

そしてなにより、船の上の解放感、多幸感は、航路や陸路の旅では味わえないものでした。

実は両親は2020年にもクルーズを計画していたそうなのですが、コロナウイルスの流行によって取りやめに。日本ではとくにダイヤモンドプリンセスの件があり、怖い印象を抱いている人もいるかもしれません。

でも船旅は本当に素敵! 状況が落ち着いたら、 ぜひ必ずもう一度、二度、と思っています。

2019年地中海クルーズ旅行記 目次はこちら

2021年2月2日火曜日

2019年地中海クルーズ(9)9日目:アテネ

エメラルドプリンセスは、ついに目的地のアテネへ到着。長い船旅を終え、今日はアテネ市内を観光し、一泊します。

アテネ・ピレウス港からの景色。

下船方法ですが、あらかじめグループごとに時間が区切られています。私たちは8時半に集合し、呼ばれるのを待ちました。30分くらいで下船できたと思います。

バスに乗り込み、向かうはアクロポリス。とにかく混雑する観光地なので、午前中に行くのが必須。でも10時前の時点ですでに結構混んでました。

丘に登っていく階段が急で、手すりなどもないため、ハラハラしました。

パルテノン神殿!! がっつり修復中でしたが、その堂々たる威容はさすが。抜けるような空に映えています。

少女の像が柱として支えるエレクティオン。現在この柱は複製で、本物のうち5体はアクロポリス博物館に、残り1体は大英博物館にあるそう。​イギリスはギリシャの貴重な遺跡を勝手に盗んでいった経緯があり、現地ガイドさんが説明してくれるときに、片言の日本語でたびたび「本物は……イギリスで~す!」と言ってた。鉄板のギャグなのだろうな(笑いごとではないが)。

ディオニューソス劇場を上から見下ろしたところ。

パルテノン神殿前では、アタック25優勝者たちで集合して記念撮影できたのもいい思い出です。その後、東京在住の気のいいおじさんとは一度飲みにも行った。

ちなみに優勝者カップルに我々と同年代の夫婦がいて、親と最初「旦那さんが優勝したのかな?」と話してたんだけど、ハッとして「いや、奥さんの方かもしれないじゃん! 現に私だってそうなのに、クイズに強い=男みたいな思い込みはジェンダーバイアスだよ!!」と力説してしまった。異国の地でジェンダーについて思いをはせる女……。そして結局、彼らは夫婦大会の優勝者でした! ちゃんちゃん。

アクロポリスの丘をおりて、第1回近代オリンピックの会場や大統領官邸を観光。

大統領官邸では、民族衣装に身を包んだ兵士の交代儀式が有名です。スカートみたいなのをはくんだね。そして暑そう。

ランチはツアーに含まれていて、Strofiというレストランへ。派手ではないですが高級感のある雰囲気で、有名なお店のよう。

テラス席からパルテノン神殿が見えます。

前菜はほうれん草とフェタチーズのパイのようなもの、メインは肉と野菜のシチュー。おいしかったけど真夏の昼間に食べるには重かった。

この手のツアーで行くレストランってあまり期待していませんでしたが、サレルノとアテネのお店はそれぞれおいしかったです。さすがJTBというところでしょうか。

ホテルはアセニアンカロリエホテル。そう大きくない建物で内装もシンプルですが、部屋は広さにゆとりがありました。午後にチェックインし、少し休んで、私は両親と繁華街のプラカ地区へ遊びに。ホテルから徒歩で15分~20分くらいかな? 路面電車が走る大通りが近くにあり、道はわかりやすいです。

プラカ地区は渋谷センター街的な感じで、お土産類はたいてい買えます。ミコノスで見かけたようなサンダルで、きれいなグリーンがあったので、購入。3000円弱でした。

ベタなお土産屋さんがいくつも並ぶなか、とてもおしゃれだったANAMNESIAというショップ。ポップだけど子どもっぽくないアイテムがたくさんありました。空港にもショップがあったから人気店なのかも。
近くにあった別のショップ。名前忘れましたがここもかわいかった。お値段は高め。

帰りにタクシーに乗ったら、日本人だとわかった運転手さんに「ヨコハマ!」と声をかけられました。ギリシャは海運の国だから、東京や京都より港がある横浜のほうが有名なのかも(横浜には古くからギリシャ料理のお店も多くあったそう)。全体的にフレンドリーかつ親切な人が多い印象で、いい国だなと思いました。

買い物は、ホテルの近くにあるPantopolionというグローサリーもおすすめ。ワイン、チーズ、オリーブオイル、はちみつ、お菓子などがそろってました。

旅行中最後のディナーは、やはりホテルから近いMani Maniというレストランへ(ギリシャ語表記だとMANH MANH)。ニューヨークタイムズにも載ったことあるようで、予約したほうがいいという情報を見て、日本にいるときにメールで予約しておきました。

かわいいドアをあけて、2階に上がるとお店。モダンなギリシャ料理という趣旨で、ここは本当に素晴らしかった! 地中海のレストラン全部よかったですが、総合点では断トツここです。

焼いたチーズがのったサラダ。崩しながら食べるとうまい!

カルパッチョ的なものが、ペーストにのっている。パンに付けたら止まらない。

こちらも前菜。野菜とポテトとイワシを3段重ねにするのがおしゃれで、帰国してから真似した。
タコのグリルの下に、大好きフムスがたっぷり。

人気のメニューみたい。チーズのパスタ目玉焼きのせ。
シーフードのリゾット。うまかった~~

そして昨日ミコノスのレストランで惚れた白ワイン、ここでも出合えて。ギリシャでは有名な銘柄なんでしょうね。もちろん頼んで1本あけました!

店員さんの雰囲気もいいし、がっつり食べてもお手頃価格で、本当にいいお店でした。

ただ食後ひとつ誤算が……! いい気持ちになって、最後にもう少しおみやげハントしたい!と夫と近所のスーパーに行ったのですが、20時閉店にギリギリ間に合わず。しかも翌日は日曜なので、たいていの店が閉まっていることに気づきました。

さっき飲んだ白ワインをどうしても日本に買って帰りたかったのに~! ローマのスーパーが遅くまで開いていたので油断していました、ここはアテネだった。ああ~心残りが、と思いながら更けていく最後の夜……。

2019年地中海クルーズ旅行記 目次はこちら

2021年1月30日土曜日

2019年地中海クルーズ(8)8日目:ミコノス(ギリシャ)

いよいよクルーズの旅も大詰め。最終日の前日であるこの日は、ミコノス島へ上陸します。

真っ白な建物で知られるミコノス島。サントリーニ島と並ぶ、ギリシャの観光地のメッカです。物価が安いギリシャの中では、レストランもお土産ショップも比較的高め。でもそれも納得と思えるほど、仕上がったさすがの観光地でした。

クルーズターミナルから市街地までは水上バスで移動します。行きはツアーで一緒に行き、帰りは個人で。片道2ユーロでした。水上バスに乗っていると、上のような風景が見えてきてさっそく心躍ります。

海がきれい! 青と白のコントラストが目にまぶしいほど。

この日のファッションは、日本にいるときから絶対これで!と決めておりました。青のサンダルはヌキテパで、これも見知らぬ乗客にほめられて嬉しかったです。夫の半パンは水着と兼用。足元は部屋履きにもしていたビルケンシュトック。

中心部は小さな通りにお店がぎっちりと並んでいます。ブーゲンビリアがいたるところで咲き乱れていました。

白壁を塗り直しているお兄さんたち。手前にロバとペリカンのぬいぐるみが見えます。ロバはサントリーニが有名ですが、ミコノスでも乗れるみたい。ペリカンはミコノス島の人気者で、そこらへんをうろついています。写真を撮れなかったけど、私も偶然見かけてラッキーな気持ちに!

サンダルショップ。ギリシャの革グッズ、なかでもサンダルは有名です。アテネでも同じようなものがあって、そっちの方が安かったです。

黒と白の猫ちゃん。

ミコノス名物の5つ並んだ風車へと続く坂。けっこうキツいです。

印象的な教会。建物にあまりギリシャ正教会っぽさがないですよね。

両親と別行動していましたが、待ち合わせまで少し時間があいたので、先に乾杯することに。Niko's Tavernaというお店です。11時過ぎだったのでまだ混んでいませんが、夜は人気店だそう。

ギリシャのアルファビールが冷えていてウマい!

シーフードのトマト煮込み的なやつ。ここはグランドメニューのほかに「本日の魚料理」などがそろっていて、選ぶのも楽しかった。値段も良心的です。

ここにもタコさん。やはりギリシャのシンボル的な存在なのですかね~

そして両親と落ち合って、昼食はリトルヴェニスというビーチに面したレストランへ。

Vegeraというお店で、中から外はこんな風に見えます。いちばんの中心地ということで混んでいるお店でしたが待たずに入ることができました! 

ここも料理が本当においしくて……。

カラマリフリットはもちろん外せません。

ムール貝も!

シメはエビのパスタ。惜しげもない大きなエビ♡

そして料理に負けず劣らずおいしかったのがこの白ワイン。アルファエステイトというワイナリーの「マラグジア シングル・ヴィンヤード」。マラグジアはギリシャを代表する白ワイン種とのこと。地中海の白!という感じで、さわやかな辛口でどんな料理にも合って本当においしかった。

食後はまた少しぶらぶらと。両替所すらかわいい。

水上バスで戻っていると、エメラルドプリンセスが見えてきました。もう明日の今頃にはとっくに下船しているかと思うとさみしい。

船に戻ったら、下船に備えて荷物の整理を。また精算に間違いがないか確認し、問題があればカウンターに問い合わせたりする必要があります。

クルーズ中に使った金額については、紙に印刷されたもの、プリンセスクルーズのアプリ、どちらでも確認できます。こちらはアプリの画面。船内Wi-Fiは、このアプリに限っては無料で使うことができます。ちなみに「ギフトクレジット -50.00」はJTBのツアーに含まれていた「1部屋につき100ドル分の船内チャージ」のことですね。

父親がサレルノでリモンチェッロを購入し、船に預けていたのですが、部屋に届けられていないということでカウンターに行きました。添乗員さんが手伝ってくれて助かったようです。結局夜ギリギリに届けられたそう。大勢の乗客がいるだけに、ミスも当然起こるので、自分でも確認して聞くことが大切ですね。

最後のディナーは、夫婦だけで、お気に入りの「Crown Grill」をリピート。

前菜は小さな貝柱のグラタン、ケイジャンザリガニのクリーム。

メイン。夫のニューヨークシティストリップ(340g)。塩3種類と一緒に供されるのがクラウングリルの特徴です。

私は仔牛のチョップにしたんだったかな。

サイドディッシュやポテトもあるので、テーブルは大渋滞。この野菜やポテトがシンプルなのにまたおいしいんですよね~。食べられなかったぶんは包んでもらいましたが、結局部屋でも全部は食べられなかったのが残念。

給仕してくれた金髪のウェイトレスさんは、ウクライナ出身だそうです。船内のスタッフ、私が見聞きした限りだと、ウクライナとフィリピン出身が多かった印象でした。

船から眺める夕陽もこれで見納め。明日はいよいよクルーズ最終日、アテネです。